「子ども会に企業が参画する...」
こういう切り口は、発想としてなかなかなかったのではないでしょうか。
石川県子ども会連合会の三国外喜男さんが、このたび、全国子ども会中央会議・研究大会において、こんなテーマの発表を行い、注目を集めました。
子ども会が今後より一層の活性化するために、今まで子ども会と関連のなかった企業等と良好な連携を持つことができないかを考え、できるとすれば企業等が子ども会行事に参画することによっての効果と、その方策を探ることを目的としているそうです。
興味のある方は、ぜひ、このまま読み進めてください。
子ども会の新しい姿のヒントが隠れているかもしれません。
データ:PDF版はこちら
私が「子ども会と企業」について研究していると話をすると、現役の子ども会育成者や指導者であっても、直感的にはピンとこないみたいだ。今更子ども会を育成していく中で、これ以上の仕事を増やしたくない気持ちがあり、なかなか関心をもってくれないようだ。しかし、子ども会が現状のままで何も変化を遂げなければ数年後には子ども会はなくなってしまうことであろう。子どもの社会性を育てる役目であった子ども会はなくなり、いずれは子どもの社会性育成するための塾みたいなものが出没しそうな気がする。まさに学習塾を始め子育てが商業ベースになる気配がしてきた。
平成13年から「企業と子ども会」というテーマで研究を続けてきた。子ども会と企業という異集団が、どのようにコラボレーションできるのかは当初は未知の世界であった。子ども会は公共の集団であり、企業は利益追求というしっかりとした目的がある。企業からみれば広告宣伝の媒体か、地域の皆様にという交際費のカテゴリーとしかとらえていなかった。このような時代の中でも企業の社会性という部分では、大企業はメセナとかCSRという観点から子育てに関する部分に関心を持つ企業は少しずつではあるが増加しつつあった。
キーワード解説
★ メセナ mecenat
日本では企業メセナとして、即効的な販売促進・広告宣伝効果を求めるのではなく、企業の社会貢献の一つとして行う芸術文化支援を定義していたが、広域な定義で教育・環境問題・福祉活動もカテゴリーにしていた。
★ CSR Corporate Social Responsibility
企業の社会的責任(CSR)という考え方が企業に求められて、日本でも資生堂、富士ゼロックスなどが展開している。手法としては環境保護活動や雇用問題に対して社会に貢献することを目指している。
★ 次世代育成支援対策推進法
次代の社会を担う子どもを育成し、又は育成しようとする家庭に対する支援その他の次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備のための国若しくは地方公共団体が講ずる施策又は事業主が行う雇用環境の整備その他の取組を推進する法律である。
★ ワーク ライフ バランス work life balance
ワークライフバランスとは、仕事と生活の調和という意味で、仕事と生活をうまく調和させ、相乗効果を及ぼし合う好循環を生み出すことが目的である。ワークライフバランスはもともと欧米で普及した概念であるが、日本では急速な少子化の進行や労働力不足の問題から注目されるようになった。
一般事業主行動計画とは
次世代育成支援対策推進法では301人以上(平成23年4月1日以降は101人以上)の労働者を雇用する事業主は、一般事業主行動計画を策定し、各労働局雇用均等室に届け出なければならない。石川県では条例で法律以上の条件を定めている。100人以上の企業を義務、100人未満を努力義務。平成23年4月以降は50人以上を積極的努力義務、50人未満を努力義務と強化する。行動計画の内容は企業内の労働者の子育て支援が主であるが、ここで問題になるのは労働者の中で子育てをする必要がある者が企業内に必ずいるとは限らないことである。平均年齢の高い企業では子育て対象者がいない、男性が多く必然的に対象にならないなどの問題が発生する。でも法律や条令の元では企業同士が比較されることになる。しかし、このような企業でも企業外の子育て支援ができることに誰もが気づいていないのである。ここで子ども会の出番となるのである。
ワークライフバランス企業と子ども会のコラボレーション
石川県では、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、県の「ワークライフバランス企業」として登録されている企業のうち、従業員の仕事と生活の調和を図るための職場環境の整備等に積極的に取り組み、顕著な成果があった企業に対して知事表彰を実施している。
ここに私は仕掛けた。金沢市に本社を置くK社(貸衣装業150名)は女性労働者が多く、ここ数年にわたり出産する女性が全て育児休業を取得し、1年間を通じて誰かが育児休業で休んでいるといった状態が続いている。石川県ではK社のような状態では知事表彰には至らない。このK社に地域の子育て支援をしてみないかと持ちかけた。平成18年11月石川県子ども会連合会が2か所で主催した子ども読み聞かせ会(金沢市と津幡町)に協力企業としてK社に依頼した。依頼した部分は当日使用する資料の作成と印刷である。資料を会社内で印刷し製本する。子ども会行事の一部をアウトソーシングするのだ。
今までは、印刷に掛かる費用を負担してもらうようなことはあった。金銭は動くが、実作業がないのが今まで、これからは実作業を伴うのである。このようなことが評価され、平成20年度の石川県ワークライフバランス企業の知事表彰にK社が選ばれた。石川県のホームページにも積極的な取組として「地域の子どもたちへの健全育成活動支援を実施、子ども読み聞かせ会への協力」と評価が掲載されている。
キーワードは「すり合わせ」
このように子ども会も戦略が必修となってくる。戦略の要点は「すり合わせ」現状の子ども会に何が不足しているのか、企業に何ができるのかを見極める。
①.<研究目的>
テーマの選択
子ども会が今後より一層の活性化するために、今まで子ども会と関連のなかった企業等と良好な連携を持つことができないかを考え、できるとすれば企業等が子ども会行事に参画することによっての効果と、その方策を探ることを目的として研究を始めた。
言葉の定義
この研究報告書の本文の中で、下記に掲げる言葉については次のように定義する。
*子ども会 単子連合組織を指し、市区町村子連以上のものとする。
*企業等 一般の私企業・各種団体(ライオンズクラブ等)のほかに高校や大学などの学校も含む。
効果については互いの目的を達成するために、参画するものであって、一方の効果だけを求めるものではない。特に企業等が支払う寄附金・協賛金等で、子ども会の会員以外に周知されないものについては効果に含まないものとする。
②.<理論>
子ども会の現状分析
子ども会の現状は超少子高齢時代が進行する中で、児童の減少、長期に渡る景気低迷などの要因で活性化にはほど遠い現状となっている。社会的に見ても子ども会の認知度は低く、子ども会育成者や指導者の活動に対する認知も低く見られ、同じ子ども相手のPTA役員に比べ割が合わない感もする。子ども会指導者・育成者が1年で交替することも増加し、これも子ども会の活動が停滞する原因の一つのように思われる。このような少子化、指導者・育成者の1年任期の中で、子ども会を正しく分析することで新たな方法で解決できないものかと考えた。
子ども会が抱える課題
子ども会が今まで希薄だった企業とかかわりを持つ中で、互いの目的をはっきりさせることで課題解決効果は現れ、相互に相手の目的を認識することが交渉の要件となる。これは子ども会指導者・育成者自身に対しても、きちんと意識を持ってもらうことが大切である。子ども会が抱える課題と効果は次表のとおり。
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子ども会の低迷する現状 |
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1.活動の低迷化 |
行事のマンネリ化 |
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2.活動の資金不足 |
少子化による会費収入の減少 |
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3.活動の場の欠如 |
大人の生涯教育が活性し、場所の確保困難 |
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4.専門性の高い指導者等不足 |
指導者等の減少・確保困難・1年交代 |
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5.子ども会の社会的認知不足 |
子ども会活動が地域から薄れた |
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6.少子化による影響 |
少子化対策の出遅れ、地域活動全体が低迷 |
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子ども会の低迷を企業の参画で解消できる |
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1.活動の低迷化 |
企業の専門性によるアイデアの提供 |
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2.活動の資金不足 |
企業からの物資・資金の提供 |
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3.活動の場の欠如 |
企業が保有する場所の提供 |
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4.専門性の高い指導者不足 |
企業労働者の職業技能の提供 |
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5.子ども会の社会的認知不足 |
企業の地域活動により市民に周知 |
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6.少子化による影響 |
子ども活動が子どもにとって社会人育成と 位置づけ、早期の企業人材教育になる |
③.<実験・結果>
企業に対する調査
一般の企業が子ども会をどれだけ認知しているかを実際に調査して、その結果により企業とのかかわりの方法を探ることとした。調査は平成13年10月に東京で株式上場企業26社(調査依頼30社)と石川県内の中小企業19社(調査依頼30社)をアンケートによる調査を実施した。なお、調査に付随して、企業の調査票記入者自身の子ども会に関する調査も実施した。
1 認知度について
調査の結果は、研究員が予定していたとおりの結果となった。子ども会の認知度は8割、更に将来のお客様という意識も8割以上となり、地域で子ども会を支えてきた育成者・指導者の活動の結果と言えるだろう。
2 従業員のボランティア活動について
企業にとって従業員のボランティア活動(地域貢献活動・ボランティア休暇など)の範囲として障害者や高齢者の援助などを定義していた思われるが、子ども会活動もボランティア活動の範囲に入るのだと考えさせたように思われる。
3 企業施設の利用
企業の所有する施設としては次のような物が考えられる
子ども会が活動する場として、企業の所有する施設を利用することを前提として調査した。企業が週末休日となり使用していない限り、利用可能が検討してみるを含めて7割以上となった。
4 子ども会との協力の方法
企業が子ども会活動を支援する方法としては次のような物が考えられる
金銭支援・人的支援・物品支援(商品提供) など
調査の結果は、状況によって変わるが5割弱となり、景気の悪い状況下を反映しているように思われる。
企業の社会貢献の一つとしての子ども会支援も、活動の内容によってが7割となり、上記同様に子ども会側の活動理論をしっかりと持つ必要性がが浮かび上がってきた。
5 少子化に対する意識
少子化に対する意識は、持っているが8割となり、地域、家庭、行政が中心となってきた子育て関連の施策も、3者に職域が加わり4者のつながりが今後の重要な課題となってくる。調査当時になかったが平成15年に次世代育成支援対策推進法が施行され企業の子育てについての意識強化となってきた。
④.< 研究の実践 >
企業の子ども会参画
企業と子ども会がかかわっていく方法は現状の活動でも問題のないように見受けられるが、世の中の変動のスピードは子ども会は比較的に遅く、企業が早いということがある。企業が子ども会に求めるものは、景気の変動などその都度変わる可能性が考えられる。このことについて子ども会指導者・育成者がついていけるかが課題となる。
1 子ども会活動の内容
活動の内容がどちらが企画するかによっても参画の内容が違ってくる。
① 企業の行事に子ども会が参画する。
◎ 行事が1回限りなのか、毎年実施するのか
◎ 企業の周年行事などの場合、企画から実施まで半年以上となることもあり、子ども会の年度を超えて考える必要があり、子ども会側の担当者が複数年担当できるかなどの問題となる。
◎ 子ども会側が予定していなかった行事が増えたり、会全体の内容の変更があり、計画・実施の柔軟性が問われる。
② 子ども会側が企画し企業に参画してもらう。
◎ 子ども会主体のように思うが、企業と折衝する力が必要となる。
③ 行事の内容は既存の子ども会行事に共催という形で企業が参画する方法が簡便でよいが、企業のカラーがどこまで出せるかが問題となる。
④ 企画が企業が中心となる場合、子どもの習性などを熟知した方が担当になっているか、特に安全に対する策が重要となる。
2 企業の色
子ども会行事が公共性があるという理由で、行事に企業色がでることをためらう意見がある。しかし、役所の広報誌や公営バスに企業のコマーシャルが掲載される時代であり、行き過ぎや偏りのない広告であれば、双方の目的をしっかりと持ち実行することは、現状では問題はない。
3 現金支援が寄附金なのか広告宣伝費か
現状の段階では賛助金等の名目で企業から子ども会が現金受領することがあるが、企業参画による子ども会行事において現金支援は寄附行為でなく、広告宣伝費又は販売促進費てきな要素で考える必要がある。単なる付き合いではなく、あくまでも企業の商業行為の一つであると子ども会側が理解しなければならない。
折衝の技法
子ども会の営業活動。
子ども会育成会としては今までなかった職務分担が発生することになる。それは企業との折衝活動である。専門的な技法が要求されることになるが、現任している育成者に適格者がいなければ、新たに担当する育成者を見つければよい。ただし、子ども会の窓口として企業から見た場合に1年交替で係が変わることはふさわしくない。
企業の折衝窓口はどこ
最初に企業に折衝する窓口はどこなのか。企業によっては企画の内容によっても窓口が変わることがある。総務、営業、販売促進、宣伝と様々である。地域性を発揮するために社長自らということもあり得る。折衝する子ども会側の担当者が行事の内容を良く理解していて、使者ではなく、ある程度の交渉判断の決定権を与えておく必要がある。そうしないと折衝回数が、ただ増えるだけである。
活動の実践
子ども会行事のすべてに企業が参画できるのだろうか。今までの行事に企業が参画できるような工夫も必要となる。参画の条件としての企業名をどのように行事の中で使うかは、前もって企業と相談の上決める。企業の参画の条件が当日きちんと実行されるかを点検する必要もある。また行事によっては複数の企業が参画することもありうる。
1 行事の内容に工夫した場合
① 広報誌や行事のパンフレットに広告をうける場合は広告の内容も子ども会にふさわしいか確認をし、発行枚数や配布する地域を事前に企業に通知する必要がある。
② 商品の市場調査が子ども会行事に付随して実施される場合は、本来の行事を阻害しないか、また調査回答に不正のないようになど、事前に点検する必要がある。
③ 行事の進行を企業に任せる場合も事前に打合せをし、子ども会行事にふさわしいか、また参加する子どもたちの学校での授業取得進度にあっているかを点検する。
科学教室や料理教室など
2 場所や物資の提供を受ける場合
① その地域で、子ども会活動する場合、どのような場所があるかは前もって調査し公表するする必要がある。
場所、収容人員、利用料、利用可能日時、利用方法、注意事項など
事例=企業の持っている体育館、グランド(当日使用していない駐車場も)、会議室、保養施設など
② 物資提供の場合、安全性を確認すること。特に食品の場合は衛生面も確認する。
事例=カレーパーティやキャンプに使用する食材の提供
クリスマス会のお菓子の提供
科学教室の教材の提供
3 職場見学や職場参観
工場見学などの職場を見学することも、相手の企業が稼働している日に限定されるが夏休みなどは可能となる。これも場所と同様に事前に調査し公表する必要がある。職場見学も子ども会と企業の参画で企画可能である。
工場名、場所、製造物、内容、利用方法など
大阪府子ども会は広報誌で工場見学できる場所を公表している。
参画の効果 CSRへの布石
それぞれが子ども会活動に参画することによって、様々な効果が現れる。子ども会の指導者・育成者を長期に渡って携わっている方の意見として、子どもと接することが仕事に役に立っていると評価する方が多い。子ども会活動の企画、立案、折衝、安全管理と行っている動作は職場でも同様なものはあり、従業員の中に子ども会の指導者・育成者がいることがもう既に企業として効果が現れていることになる。今後、子ども会行事に企業が積極的に参画することよって、企業の効果は現れるものの速攻的な効果は望めない。遅効的な部分の正しい理解を企業に求めたい。
1 企業の効果
① 本業以外の効果
企業が子ども会を支援するということは、直接的な宣伝効果と間接的な企業の地域貢献という2つの効果が考えられる。子ども会活動に企業が参画することは、どちらかと言えば間接的な効果に分類されるだろう。
② 地域での責任
よく「地域」という言葉が子育ての現場で使われるが、地域の中には家庭、学校、行政、そして大人が働く場としての職域(企業)も含んで地域が構成されているのである。また、地域の子どもたちが大きくなって労働者となったり、消費者となることを考えると企業としての地域での責任はないとは言い切れない。子育ての現場にも企業の必要性と責任と義務は大いにあるものと思われる。
③ CSRとワークライフバランス
次世代育成支援の行動計画により地域の社会貢献も一つの手法ではないだろうか。その地域貢献として子ども会活動に参画するのも方策である。
2 子ども会の効果
子ども会に取っての効果は理論で述べたように、現状の問題解決ができるという点がある。人的効果、資金的な効果など今までにない効果が考えられる。だだ企業とのかかわりという新しい考え方により、担当する育成者の確立という課題もある。
実 践 事 例
全国読み聞かせキャラバンinはくさんの実践事例
主 催 全国子ども会連合会 石川県子ども会連合会
期 日 平成17年10月30日
実践協力団体 株式会社 ナナオ
千代野地区民生委員児童委員協議会
5月中旬
石川県白山市で全国読み聞かせキャラバンを実施することに決定。
石川県子ども会連合会が共催する。
実務担当者は県子連の専門指導員2名が担当
地域の市子連育成者とは関わりをもたない。
子ども会学会の実験事業とする。
実践協力団体から当日スタッフを派遣してもらう。
8月上旬
同地域の千代野地区民生委員児童委員協議会に対してスタッフとして参加依頼し了解を得た。
児童委員の業務として実際に子どもたちと接触して理解を深めて見ないかと説明した。
白山市内のA社に実情を説明して協力団体として参加依頼した。
8月下旬
A社との交渉は破談となった。
理由 社内担当者が上司に説明したが理解をもらうことができなかった。
A社はこれまで市子連行事資料に協賛広告を出していたが、資金援助はできるけれど人の派遣できない。当時、次世代育成支援の行動計画さえも作成提出していない状態で、本業以外のことについてCSR等の推進は他社に比べて遅れていた。社内担当者もこれを機会にと思ったが結果を出せなかった。
9月上旬
白山市内のディスプレイ製造業の株式会社ナナオ(東証1部上場社員700名)に実情を説明してスタッフ参加依頼をする。
担当者は総務課。協賛金等の依頼はほかの団体もあるが人の派遣は聞いたことがないとのこと。数年前までは市子連行事資料に協賛広告を出していたが、近年は断られていた経緯がある。
交渉の結果は、会社の名前をパンフレットに表示すること、社員が地域ボランティアの意識で参加する条件で了解を得た。ちなみに前述のA社は実施日が日曜日なので会社からの参加を言い出しにくいと言っていた。
9月下旬
スタッフ10名が確定した。株式会社ナナオでは社内にスタッフ募集の掲示だけで4名集まった。
イベントのパンフレットの配布と参加募集の取りまとめは白山市役所に依頼し、近隣の小学校、保育所、幼稚園、図書館に配布。地域の子ども関連の団体には参加要請はしなかった。その他にホームページ開設、地域版メールマガジンに掲載した。
10月20日
スタッフ打合せ会を開催した。行事の趣旨とスケジュールを説明し、子どもの安全確保についてはいろいろな事故を想定しスタッフとして意識をきちんと持つように話をした。
当日着用するスタッフジャンパーは株式会社ナナオのイベントジャンパーを着ることとした。
10月29日 午後 準備会
全子連スタッフからの準備説明後、スタッフはそれぞれの仕事をこなしていた。暗幕の準備不足などアクシデントがあったが、嫌な顔ひとつせず、それぞれが得意とする分野で乗り越えて予定の時間で終了することができた。
この日の感じでスタッフ募集は大成功と思うほどだった。
10月30日
実施日。朝は緊張感一杯の顔。午後からのペープサート等の講習にはスタッフも受講した。子ども相手に遊ぶ技の取得は、本来の仕事をすることより難しそうな顔つきだ。
夕方、無事イベント終了した。後かたづけが終わって、スタッフの心地よい疲労感の顔つきが見受けられる。
担当者としての業務の増加は確かにある。企業との折衝には時間もかかるし、新たな責任も増える。しかし、いつもの子ども会育成者(今回は企業からのスタッフ)への気遣いはなかった。原因を探ると育成者の子どもが行事参加していないこと。スタッフとしての参加意識が行動も自発的で非常に高く感じられた。まるで子どものようだ。通常のイベントでも子ども会育成者がこのように意識を持ってくれればと思った。反面、現状の諸問題がなぜ発生したのかを改めて考えなければならないと深く思った。
今回の事業では企業側はどのような効果があったのだろうか。株式会社ナナオでは、参加したスタッフは公休日のボランティア自主参加扱いとなり、経費支出はなかった。パンフレットに記載した社名を見て不思議に思った方も多かった。広告による効果は研究事例に参加した事情を私が説明しない限り発揮しない。今後の課題である。また、千代野地区民生委員児童委員協議会としては本来の児童委員の仕事が問題発生してからの方が多く、児童の諸問題が地域で発生しない環境づくりとして、このようなイベントに多くの子どもたちが参加するように地域づくりをするきっかけとなった。
参加したスタッフにはどのような効果等があったか聞いてみた。回答者7名
① 今後も子ども会関連のイベントにスタッフとして参加したいか。
全員 参加したい。
② 今回の参加で、自分の仕事なとに参考になる点はあったか。
大変参考になった。自己表現の楽しさがわかった。
子どもの遊びを理解できた。
自分が楽しむ機会と考えたらよいと思った。
段取りや初めて会う方との接し方などが勉強になった。
このように自主的に参加してくるスタッフは、思っていたより重宝した。今後人手の足りないイベントでは市民から募集するのも一つの方策であろう。
⑤.< 結論 >
企業の現状と予測
企画の段階で双方の歩み寄りが互いに整理され、双方の目的をはっきりと確認できれば、双方による子ども会行事の参画は成功と言えよう。子ども会という市場を公開することによって、企業は地域との密着度を上げ本業の目的を達成する。このような実現が新しい子ども会の在り方と言える。今後、全国の子ども会が地域に密着した新たな企業連携型子ども会活動として拡大していくことを期待する。
今後の課題
今後、企業の参画による子ども会活動の啓発をしながら、実践事例を重ねることにより、まだ見えてこない問題点を見つけ、更にステップアップするために実例収集や、双方の参画の斡旋方法についての研究を続けていきたい。

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