平成16年6月県議会。質問は、吉田弘議員。タイトルは「郷土愛について」。
中身はなんと「彩の国さいたま21世紀郷土かるた」についての質問です。
埼玉で子ども会では当たり前のように遊ばれている郷土かるたについて、県議会で話題になっていたのです。
さあ、どんな内容なのでしょう。
Q 子供にとってかけがえのない郷土埼玉を愛する郷土愛が、やがては日本の国を愛することにつながっていくことは、論を待たないところでございます。
その郷土埼玉を好きになってもらうには、郷土が生んだ偉人、美しい自然や歴史、文化などについて知ってもらうことが肝要でございます。
その一つの手段として、昭和五十七年に県教育委員会が制作し、埼玉県子ども会育成連絡協議会が発行した「さいたま郷土かるた」は、郷土愛をはぐくむすばらしい社会教育の一端を担っていると思うのです。
その郷土かるたについては、各市町村ごとに毎年お正月に、各地の子ども会育成連絡協議会が小学校の子供たちを対象に、郷土かるた大会を主催し、個人、団体を勝ち抜いた児童が県大会に進むというイベントが行われております。
私も、ここ二十年間この大会に地元でかかわっておりますが、子供たちの真剣なまなざし、かるたを取るときの素早さ、手に汗を握りながらの御父兄の応援、また私たちが知らなかった埼玉の歴史・文化の再認識等々、それぞれが織りなす光景は、まさにお正月の風物詩でございます。
ところが、ここで埼玉県教育委員会と埼玉県子ども会育成連絡協議会では、「さいたま郷土かるた」から「彩の国21世紀郷土かるた」につくり直しました。
約二十年の歳月が流れたわけですから、つくり直すのも当然かもしれません。
このかるたは、県内の小中学生から応募してもらい、制作委員会が監修したと聞いておりますが、今度のかるたは、郷土愛を醸成させる意義というか、かるたとしての重みがなくなってしまったような気がするのです。
特に驚いたのは、埼玉県が誇る大偉人であり、日本資本主義の最高指導者である渋沢栄一翁が、今までの郷土かるたでは、「日本の産業育てた渋沢翁」だったんです。
ところが、今度の彩の国21世紀郷土かるたは、何と「栄一も食べたネギ入り煮ぼうとう」、こういうふうに変わっちゃったんです。
皆さん、情けなくないですか。
これでは、上田知事が常日ごろ口癖のように言われている、埼玉県民には渋沢翁のすばらしい遺伝子がちりばめられているのだという考え方が、かるたを通してしっかりと伝わらないではありませんか。
子ども会のお母さん方もびっくりしておられます。
私としても大いに疑問を感じ、義憤を感じます。
ほかにもあります。
源頼朝の名家臣、畠山重忠、蚕業いわゆる蚕の改良で名をはせた木村九蔵のかるたもなくなってしまいました。
埼玉が生んだ歴史上の偉人を子供たちが知ることが、どれほど郷土愛に結び付くか分からないと思うのです。
ともあれ、このたびの渋沢翁のかるたについて、教育委員会はどのように考えているのか。
また、このたびの彩の国21世紀郷土かるたを、今すぐとは言いませんが、見直すお考えがあるや否や。
畠山重忠、木村九蔵のことも含めて、教育長の御見解をお伺いいたします。
また、教育委員会は、このかるた大会を、子供たちの郷土愛をはぐくむためにどのくらいの関心を寄せておられるのか、重きをなしておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
A 稲葉 喜徳教育長 議員御指摘のとおり、子供たちに郷土埼玉を愛する心を育てることは大変重要なことと認識しております。
まず、このたびの渋沢翁のかるたをどう考えているのかでございますが、今回の彩の国21世紀郷土かるたの作成におきましては、県内の小中学生の約一万五千点に及ぶ応募作品の中から、子供の豊かな感性や親しみやすさを基に、埼玉の人物、歴史、自然や文化など幅広い内容を、地域的なバランスも考慮して、文化団体など各界を代表する方から成る制作実行委員会で選考・決定していただいたものでございます。
しかしながら、お話の渋沢栄一翁のかるたに関する御指摘につきましては、制作当事者である県教育委員会の責任であり、配慮に欠けていたものと真しに受け止めております。
また、かるたの見直しでございますが、既にこのかるたは平成十八年度からの大会で使用されることとなっております。
御指摘の人物の選定につきましては、その際の評価を行う中で検討してまいりたいと存じます。
次に、かるた大会につきましては、埼玉県子ども会育成連絡協議会と県教育委員会の共催により、子供たちに埼玉のことをよく知ってもらい、好きになってもらうことや、友達との触れ合いを深めてもらうことをねらいとして行っております。
この大会の運営につきましては、吉田弘議員をはじめ、地域の子ども会の役員の皆様のお力添えにより、二十二年間継続してきたものでございます。
県教育委員会といたしましては、このかるた大会は、子供たちに郷土愛を育てる貴重な場ととらえておりますので、引き続き埼玉県子ども会育成連絡協議会と十分連携を図りながら、大会を積極的に支援してまいりたいと存じます。
Q 再質問 教育長もここでおわびをしておられましたので、余りくどくは言いませんけれども、しかし非常に私は残念に思ったのは、さっき質問の中で、どれくらい教育委員会がこのかるた大会に関心を寄せておられるかという質問をしましたけれども、これは余りにも渋沢翁のかるたがひどいからなんですね。
そうすると、この問題に対して余り関心を寄せていないからこそ、こういうかるたを採用してしまったのではないかという気がするんです。
もちろん、子供さん方から募集したわけですから、子供さんたちの感性あるいは親しみやすさ、こういうものも大事でしょう。
しかし、こと渋沢栄一のかるたに関しては、やはり別物だと思うんですね。
そういった意味で、やはりもう少し配慮が必要だった。
これと併せて、先ほど私、申し上げましたけれども、人物が非常に減ってきてしまったということを申し上げました。
これは、子供たちに郷土が生んだ先人の崇高な勇気ある生き方を知ってもらうことは、もちろん郷土愛をはぐくむためにも大事ですけれども、最高の心の教育にもなるんですね。
ですから、できるだけ郷土が生んだ偉人、これは残してほしい。
A 稲葉 喜徳教育長 この21世紀郷土かるたにつきましては、平成十三年度に制作実行委員会を立ち上げまして検討させていただいたわけでございます。 結果的に渋沢栄一翁について配慮が足りないことは、先ほど申し上げたとおりでございます。 なお、埼玉県の誇るべき偉人については、可能な限り、やはり入れるべきというふうに思います。 同時に併せて、子供にとって、例えば宇宙飛行士の若田光一さんを今回新たに入れておりますけれども、そういった配慮もまた一部必要かなと思いますので、併せて今後必要な時期に検討させていただきたいというふうに思います。
Q 再々質問 今の郷土かるたですけれども、できるだけ早くですね、渋沢翁も含めて、偉人の人たちを入れてつくり替えしてほしいんです。
教育長から、いつごろ、これは十八年度から新しい21世紀郷土かるたを採用するわけですけれども、いつごろこれを替えてくれるのか、具体的に聞きたいと思います。
A 稲葉 喜徳教育長 郷土かるたにつきましては、御指摘いただきましたように、平成十八年度から実際に使用に供するという予定になっております。 その際に、渋沢栄一翁の文言、さらには他の偉人が入っていないということを含め、様々な御意見をちょうだいし、必要な時期に、早い時期に検討してまいりたいと存じます。(埼玉県議会ホームページの記事はこちら)
埼玉の子ども会の人なら、思わずニヤリとしてしまうようなやり取りです。
解説しましょう。
埼玉県では、冬のこの時期は、かるた大会が本当に熱心に行われています。読み手や審判にジュニアリーダーをあて、子ども達が熱戦を繰り広げるのです。
このかるた、21世紀になって、札が一新されました。
これは、その中の札の話題なのです。
「日本の資本主義の父」として名高い渋沢栄一の札が、昔のかるたでは、
「日本の産業育てた渋沢翁」
となっていました。
しかも、これは役札(役札を3枚そろえると+10ポイント)扱いだったわけです。
みんな、このかるたを通じて、郷土の偉人のことを知ったわけです。
現在の札は、こんな感じです。
「栄一も食べたネギ入り煮ぼうとう」役札からも外されています。
要するに、
「ただのB級グルメ食ってるおっちゃん扱いじゃん!」
って言ってるのです(笑)
確かに、リーダー同士の冗談話でよく出ている話題ではあったのですが、県議会でまじめに議論されていたとは...。
さあ、このやり取りから5年以上経過したわけですが、札は今後変わったりするのでしょうか。
(はっちー)

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